春になると、ふと思い出すのですが、
昔々、小学校6年の2月頃、「中学生になったら何をしたいか」を、短冊に書いて、それを教室の後ろに貼ってみんなで見よう、みたいな授業がありました。
今振り返ると、特に思いつかなくても、なんか先生が喜びそうなこととか、みんなが書いていそうなことを適当に書いとけばよかったのですけど(言い方は悪いですが)、
当時はまじめに本当に思っていることを書かねば、などと思っていて、
全く思いつかなくてどうしようかとすごく悩んで、しかもその授業の時間内に書かねばならず、悩みすぎてほんと心が死んだわ・・・という思い出があるのです。
なぜそんなに悩んだのかというと、
「小学校と中学校で何が違うのかがわからなかった」
これにつきます。
上の兄弟もいないのでお手本がないし、私は小学校でも早いうちから部活もやっていて、小中での違いがなにもわからなかったし、小学校の延長上に中学もあると思っていたので、なぜあえて中学生になったら・・とか書かせるのかな、とか思ってしまい、何を書けばいいのやら・・となったのです。
中学校と小学校での違いを教わったり、実際の中学生活を見せられて、どうしたいか書きなさい、ならすぐ書けたでしょうけれど、知らないところに行って何がしたいか書きなさい、だと、どうしたらいいかわからず、混乱してしまいました。
私がこの出来事を何十年も覚えているのは、このあとの出来事がちょっと忘れられないからなのです。
当時何もかけず、時間切れ寸前にてんぱった私は、隣の席の子に何を書いたか聞いて、それと全く同じことを書いて提出したのです。
みんなこういう感じのこと書いてるからいいか、と軽い気持ちで。
でも、なんとこの後、私はその子と一緒に先生に呼び出されることとなりました。
先生曰く、「同じことを書いてるけど、それでいいのか?」
その子に悪いことをしたと、謝ったけれど、
なぜ呼び出されたのか、何が悪かったのか今でもわかりません。
もっと抽象的に、「勉強を頑張ります」とか書いておけばとよかったと後悔しました。
今でもいろんなところで、こういった質問を目にしたり、聞いたりします。
新成人の人に、「大人になったら何がしたいですか」と聞いたり、
学生に、「社会人になったらどんなことをしたいですか」と聞いたり、
新入社員に「当社の会社員としての抱負」を書かせたりしますね。
ニュースで、新成人の人に、テレビ局の人が、大人になったら何をしたいですか、とインタビューしていて、
その人は「クレジットカードで買い物してみたい」とか、「車を運転してどこかに行きたい」などと言っておられましたが、適当にテレビに合わせて言っておられたのかもしれないけど、そもそも成人と子供の違いはそんなところじゃないだろう・・と感じたりもしました。本音ではなく、そういう図を撮りたかったんだろうな、とも思いましたが
大人と子供の違いが、年齢以外に何なのか誰も教えてくれないしわかっていないのに、大人になったら何をしたいですか、という質問に、本音でこたえられる人っているのでしょうか?というか、そもそも本音など誰も聞いていないのかも。
やっぱりいつの世も、適当に相手が求めていそうな回答をしておくのが正解なのかもしれません。
なんとなく、人に受け入れられそうな回答を準備しておいて、適当に答える。聞くほうも、そんなに真剣ではなく、さらっとしたコミュニケーションの一つとして聞く。
そのほうが、受け入れられやすいし、生きやすい。
本音は隠すべきもので、いくつもの建前をうまくこなせる人が、やはり優秀なのでしょうか?
春にありがちなニュースを見て、昔々のあの短冊のことを、ふと思い出してしまいました。
今のように、情報が得やすい時代に小学生だったら、私はあの短冊に、何て書いたでしょうね?
意外に同じように悩んでいたりして^^;
だとすると不器用すぎですね(笑)