ずっとずっと前、まだ20代だったころ、人目を気にし、嫌われないように、悪く言われないように、失敗しないように、と人からの評価を求め苦しんでいたとき、指摘されたことがあります。
「自分が人のことを悪く言ったり思ったり、嫌ったりしているから、人から悪く言われてるとか思われてるとか感じるんじゃない?自分が人に対して思ってることを、人から思われたら嫌なら、それひどいのそっちじゃない?」
ずっと前、私は、自分のことを、いい人側の人間だと思っていました。
時間に追われていたときは、目の前のことを一生懸命やっている、まじめな人間だと、そう思って生きていました。
でも、当時を振り返ってみると、自分の、自分だけの目の前のことに追われて、周りの人たちのことが全く目に入っていませんでした。それぞれの人に、それぞれ抱えている思いがあり、それぞれの人の人生で、社会は回っているのに、小さな小さな、自分の世界だけが、自分にとってとても大きく、いろんなことに気づく余裕すらない、幼稚な、小さな人間でした。
競争社会を離れ、ある程度俯瞰で見れるようになったら、
自分はいい人間だと思っていた当時の自分の生き方が、とても恥ずかしく思えました。
その時が、本当の意味で大人になる第一歩だったような気がしています。
体や立場は、何年も前に大人になっていたというのに、
自分のことしか考えていない、考える余裕のない子供だったと気づいた時の衝撃と、恥ずかしさは、もう、言葉には言い表せないほどのものでした。
年齢ではなく、人間性を磨き、人を思いやれ、ある程度物事を俯瞰でみれること、そして大切にすべきことや人がわかっていて、それを守れる人、やさしさと、強さと、厳しさをともに持っている人を、「大人」というのではないかな・・・
今は、個人的に、そう感じています。
たとえすごく若くても、そういう人がいたりしますね。
本当の意味での大人への道は長い・・・というか、すべてを兼ねそろえたいい大人には、もしかすると一生なれないかもしれないけれど、
もがき続け、近づきたいと思っています^^;
「子供は、大人の言うことは聞かないけど、することは真似する」とどこかで聞いた気がするのですが、自分たち大人世代が、学び、もがき、いいほうへ進もうとする姿を見せることで、次の世代につなげていけることはまだあるんじゃないかな・・と、自分に言い聞かせ、気合を入れなおしたりしています。
おとなって、なんだろうね。
ふとそう思ったときに、手に取った本を、今回はご紹介したいと思います。
「おとなになるってどんなこと?」
吉本 ばなな ちくまプリマー新書
ご自分の経験も含めて、いろいろな視点から書かれています。
こうしなければ、と決めつけるのではなく、淡々と文字が綴られていて、なんだか童話を読んだときのような、不思議な余韻の残る本でした。
また次回からも、本をご紹介していきたいと思います。
お読みいただきありがとうございました^^