白うさぎの読書ブログ

読書好きが個人的に面白いと思った本や学び、社会への疑問などについてのんびりと書いている雑記帳です

美しい物語

秋が深まってくると、静かに心にしみる物語を読みたくなるときがあります。

今回はそんなときにおすすめだと思う本をご紹介したいと思います。

 

「狐笛のかなた」 上橋 菜穂子 新潮文庫 

 

亡き母から、人の心が聞こえる「聞き耳」の力を受け継いだ12歳の小夜は、ある日、犬に追われている子狐を助けるが、その子狐はこの世と神の世の「あわい」に住む霊狐だった。

 

ファンタジーの要素がある物語ですが、とても日本的な情景を感じ、とてもきれいで、心が震えます。

大人から子供まで幅広い世代におすすめの物語です。

ライトなホラー②

少しこわいけど、少し泣ける。少し笑える。

サクサク読めて、なぜかあたたかい気持ちになる、そんな本です。

日常の息抜きに、おすすめです^^

 

「お迎えにあがりました。国土交通省国土政策局幽冥推進課」 竹林 七草

                             集英社文庫

 

入社式当日に会社が倒産し、路頭に迷った主人公は立ち寄った公園で、国土交通省の臨時職員募集の張り紙を見つけます。藁をも掴む思いで応募しなんとか採用されるも、そこは「幽冥推進課」という怪しい名前の部署。国土開発の妨げとなる地縛霊を立ち退かせるのを仕事とする場所でした。

 

新人らしく一生懸命に頑張る主人公に元気をもらえる物語です。

 

ライトなホラー

「リング」とか「犬鳴村」みたいな本格的なホラーは、個人的には怖すぎて後をひくから無理だけど、ちょっとした怖さがある物語を読みたくなるときがあります。

 

ずっと守りたい人がいて、霊になっても守り続けている人。愛する飼い主との約束を守り続けて、死んだことにも気づかずずっと誰もいなくなった家で待ち続けた犬。もちろん恨みつらみ系もあるけれど、中にはとても泣ける話もあり、涙活にも少し役立つかも?という本をご紹介したいと思います。

 

「丸の内で就職したら幽霊物件担当でした」竹村 優希 角川文庫

 

主人公である就活生の澪は、丸の内にある巨大企業「吉原不動産」に就職できた!と喜んでいたが、配属されたのは事故物件で買い手や借り手がつかない物件の調査を行い、問題があればそれを解決に導く第六物件管理部。霊が見えやすい体質を評価されての採用だった。元気がとりえの新入社員の、ホラーあり笑いあり涙ありのお仕事物語です。

すぐそばも幸せにできないで

「活躍」とか「社会貢献」とか「売上1位の優秀社員表彰」とか「競争力」とかそういった言葉が、物事を一方からしかみてないように思えて、少し苦手です。昔から。

 

「活躍」してない人ってどんな人のことを指すのかな・・

仕事をしているだけで社会にはある程度「貢献」して「活躍」しているし、主婦などでも、家族の心身の健康のために「活躍」しているし。

会社にとっては売上1位はありがたい存在で、都合のいい存在なので、評価と出世が与えられるかもしれないけれど、売り上げノルマがあるからたくさん売る、売り上げがこれだけいるからこれだけ作って売る。新しいものを次々に売って古いものは捨てる。という生活が、地球環境にとっていいことなのかどうなのか・・

今日の国の競争力を維持し、国民の快適な生活を支えるためには原発は止められないとかそういうのも・・

 

キレイ事だけでは生きていけないのはわかっています。そのうえで、多方面から見た時に、少しでいいから辻褄があうように、帳尻があうように速度を速めたり、緩めたりしたりするのはだめなのかな・・と思うのです。

 

長くなりすみません。以前競争社会に疲れ、息抜きしたいなぁと思ったときに手にとって、なんだか癒された本を今日はご紹介したいと思います。

 

今日の記事の題名のとおり、

「すぐそばも幸せにできないで」高島 大 ワニブックス です。

半径5メートルの幸せを、さりげなく語ってある本です。

あの頃に読みたかった

仕事をしていると、いいこともあるけれど、結構つらいことも多いですよね。

ノルマ的なものに追われ、上司や先輩に怒られ、または部下や後輩と上司の板挟みになったり、抱えるものが増えていったり・・。

体力と気合で乗り切れる若いうちは何とかこなせても、年々気合ではどうにもならなくなったり、なぜこんなことをしているのか・・と思い始めたり。

そんな疲れ果てていたあの頃に出会っていたら、なんだかスカっとできたかもなぁ・・と個人的に思う本があります。

 

「ちょっと今から仕事やめてくる」北川恵海 KADOKAWA メディアワークス文庫

主人公の隆はブラック企業でこき使われ、心身ともに衰弱して無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられます。小学校の同級生だという彼と仲良くなり飲みに行って話を聞いてもらったりするうちに、隆の心に変化が生まれていきます。

しかし調べるとヤマモトという同級生はいたことはいたが海外赴任中で日本にはいないはずということがわかり・・・

最後は泣けます。

(誤解のないよう補足しますが、退職をおすすめしているわけではありません)

 

作品を生み出す人のすごさ

すごく面白い本を読み終わったとき、作品にして出せるレベルで物語を考えたりできる人ってすごいなぁ・・といつも思うわけです。

数を読めば読むほど、その思いが強まるというか、やっぱりお金を人様に払ってもらえるレベルのものを生み出す人はプロなのであって、自分はいろいろなプロの人の仕事で楽しませてもらっているのだな・・と感じるこの頃です。

 

さて、今回ご紹介するのは現代ものです。

知識や情報量の多さに驚いたのと、会社勤めの方が書かれているのもあって、フィクションではあるものの、妙なリアリティーに手に汗を握って一気読みしてしまいました。

 

2014年に出されていて、「このミステリーがすごい」の11回大賞をとった作品なのでご存知の方もおられるかと思いますが・・ こちらです。

 

生存者ゼロ 安生 正 宝島社文庫

 

北海道根室半島沖に浮かぶ石油掘削基地との連絡が途絶え、石油戦略上の重要拠点であることから、テロの恐れがあるとみなされ自衛隊に確認要請がはいります。

到着した隊員たちを待っていたのは、職員全員の無残な死体。その状態から、感染症の発生が疑われ感染症学者が呼ばれますが・・・

 

出世、権力、リーダーシップ、上司と部下、父の娘への愛情などいろいろな要素があり、私は読んで心がぎゅっと締め付けられました。そして最後の謎解き。そうくるのか!と誰もが思うはず・・

人によって感じ方は違うと思いますが、なにか心に余韻の残る、そんなミステリー小説です。

 

 

読書するのは何のため

本を読みたいときって、どんな時ですか?

私の場合は、趣味であるのもあるけれど、単純に息抜きしたいとき、それから自分の心を整理したいけど、答えが見つからなくて・・でも人に相談するのも・・というときに本を手に取ったりします。

たくさん本を読んで、物語の世界に入って心をそらして、主人公の気持ちになって考えたり、単純に楽しんだりしているうちに、いつの間にかスッと自分なりの心が決まったりするときがあるのです。私だけでしょうか^^;

今日は、少し疲れたとき、あまり重たい内容の本を読みたくないな・・でも何か物語が読みたい・・というときにおすすめかなぁと個人的に思った本をご紹介します。

今日おすすめするのは・・

「隠密味見方同心」風野真知雄 講談社文庫 です。

「美味の傍には悪がいる・・」そう言い残して、味見方同心である兄、月浦波之進は刺客に襲われ死んでしまいます。

主人公である弟の魚之進が兄の後をつぐことになるのですが、切れ者であった兄と対象的に、魚之進は気弱でちょっとのんびりしたマイペースなタイプ。

魚之進は四苦八苦しながらも、自分なりのやり方でいろいろな事件を解決に導いていきます。

味見方同心というだけあって、事件はすべて食べ物絡み。いろいろな新江戸料理が登場するグルメ捕り物帖です。