Shiratamausagiの読書ブログ

読書好きが個人的に面白いと思った本をのんびりと紹介しています

闘蛇を死なせたのは誰か

日常生活で、当たり前だと思っていることが、実は人間だけが決めたルールで、自然界やほかの動物たちにとっては害になっている・・

そんなことが、世の中には結構あるのかもしれません。誰が位が上で、誰が下、といったことも、そのときにそうしたほうがいいと思った人たちが決めたことかもしれません。

 

今日ご紹介するのは、子供向けにアニメ化もされている物語なのですが、私は原作の小説で知り、実はこれ、結構大人に向けても書かれているのでは・・と感じたお話です。

 

民族の違い、種族や役割による差別的棲み分け。その獣にとっては害になるとわかっているのに、国を統治するため、人が操り戦うためにはそれが最適とされている獣の飼育法。いろいろな葛藤を抱えながら、その中で誰に愛情を注ぎ、どう生きていくか。どのような強さをもつのか。

大人の私には、葛藤の中、孤独の中、誰を、何を愛しどう生きるのか、強さとは何か、そういったことを投げかけられているように感じました。

 

 獣の奏者 上橋菜穂子 講談社文庫

 

舞台はリョザ神王国。主人公の少女エリンは獣の獣医師として働く母と闘蛇村で暮らしていました。貧しくとも幸せな日々が一変したのは、闘蛇を死なせてしまった罪で、母ソヨンの処刑が決まった時からでした。しかも闘蛇(ワニのような生き物)に食わせる、という処刑法で・・・。闘蛇を使役し戦うその国の軍隊にとっては、闘蛇はとても大切な生き物だったからです。

野生の闘蛇のいる川に、剣で斬られた上に突き落とされた母を助けようと飛び込んだエリンを、母ソヨンは禁術を使い、最後の力を振り絞って助けます。そしてソヨンは娘の幸せを願い死んでしまい、エリンは下流へと流されていくのでした。

蜂飼いのジョウンに拾われたエリンは、そこから懸命に生きていくのですが・・・