白うさぎの読書ブログ

読書好きが個人的に面白いと思った本や学び、社会への疑問などについてのんびりと書いている雑記帳です

憎む相手の気持ち

まだ今よりはずっと若いころ、いろいろ注意されたり、批判されたりすることを、どこか被害者的な目線で見ていた時がありました。

おそらく自分が至らずに、力不足でいろいろなことをうまく回せず、でも若さと体力とやる気はあったので空回りしていたのだな・・とふと振り返って思うときがあります。

今もきっと、何かで空回りしているのかもしれないけれど、できる限り相手の事情や気持ちを汲み取れる器の大きな人になりたいなぁと思ったりします。そして日々学んでいきたいなぁと思います。

世間的にみればまだまだ甘ちゃんで、叱られるほうが多いかもしれませんが・・^^;

頑張りたい(/・ω・)/

 

今日ご紹介するのは、生まれ変わり?というか死んだ後に別の人間の体に魂だけ入って生まれ変わり、その人間として生きるという物語なのですが、その人間は、心から憎んでいた人だった、というものです。

 

「威風堂々惡女」 白洲 梓 集英社オレンジ文庫

 

主人公の玉瑛は、尹族の娘。端燕国では尹族は最下層の身分とされていました。玉瑛は聡明な娘でしたが、貴族の家で最下層の下働きをしていました。

尹族が最下層の身分になったのは、かつて皇帝の寵姫として絶大な権力を誇った尹族出身の柳雪媛が、謀反を起こそうとして誅されたという過去のせいでした。

辛く苦しい生活のなかで、懸命に耐えて生きていた玉瑛はある日皇帝の出した「尹族国外追放」の勅命により屋敷を追い出され、追われ、命を狙われることとなります。山中で兵士に追いつかれて斬られ、なんの罪もない尹族がひどい運命をたどる原因を作った柳雪媛を心から憎みながら死んでしまいます。

意識が戻った時、きれいな衣装を着て、「雪媛様」と呼ばれる自分に戸惑いを隠せず・・

 

玉瑛の記憶をもって柳雪媛として生まれ変わった彼女は、尹族が虐げられる理由をつくらないように、歴史を変えるべく戦っていくのですが・・

 

雪媛の中にいる玉瑛の心がとても切ないです。尹族が奴隷身分に落ちる原因をつくらぬよう、歴史を変えるべく、玉瑛の大切な人たちを守るために、手段を選ばず障壁を消していこうとする姿は本当に堂々とした悪女。

ですが雪媛の母や、家人、幼馴染、と雪媛としての人生にも触れ、複雑な思いに心が揺れ動きます。

巻を進めるごとに雪媛をとりまくいろいろな事実が明らかになります。未来を変えられるのか、それとも雪媛としての幸せを追うのか・・

一気読みでした^^